Unmanaged plantation

気候変動への対応が求められる中で、森林生態系が持つ炭素固定機能をどのように活かすかは大きな課題です。特に土壌炭素は、森林に蓄えられる炭素の重要な構成要素であり、その変化を理解することは持続的な森林管理に直結します。本研究では、人工林管理や森林の利用状況の違いが土壌炭素蓄積に与える影響を評価し、カーボンニュートラルに貢献する森林管理のあり方を探っています。

なぜ森林の土壌炭素が重要なのか

森林に蓄積される炭素というと樹木の幹や枝葉が注目されがちですが、実際には土壌も極めて大きな炭素貯蔵庫です。土壌炭素は滞留時間が長く、森林の炭素収支や長期的な気候変動緩和を考える上で重要な役割を果たします。一方、土壌炭素は森林管理や撹乱、樹種構成、立地条件などの影響を受けて変化します。したがって、単に森林面積を増やすだけでなく、どのような森林をどのように管理するかを考えることが、カーボンニュートラルの実現には重要です。

人工林管理と土壌炭素蓄積

日本の森林の多くを占める人工林では、間伐や更新、放置の有無など管理状態が大きく異なっています。こうした管理の違いは、林冠構造・下層植生・リター供給量・土壌環境などを通じて、土壌炭素の蓄積や分解過程に影響を与える可能性があります。本研究では、スギ・ヒノキ・カラマツなどの人工林を含めて、管理履歴や立地の違いが土壌炭素に与える影響を評価し、どのような森林管理が長期的な炭素蓄積に有利かを明らかにしようとしています。

研究方法

研究では、土壌サンプリング、炭素量の測定、リター量や植生構造の調査、必要に応じて土壌微生物や分解過程の評価などを組み合わせています。また、管理履歴や林齢などの情報を統合しながら、土壌炭素蓄積のパターンを解析しています。さらに、広域的なデータやインベントリー情報も活用しながら、流域スケールでの詳細な理解と、より一般化された知見の両方を目指しています。

森林管理への応用

研究成果は、カーボンニュートラルに資する森林管理手法の検討に役立つと期待されます。炭素固定を重視した管理と、生物多様性や木材生産など他の機能との両立をどう図るかは、今後ますます重要になる課題です。本研究では、森林土壌という見えにくい炭素ストックに注目することで、森林管理の評価軸を広げ、自然に根ざした解決策としての森林利用のあり方を考えたいと考えています。